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2022.01.27 センターお知らせ 

「人との出会いを大切に、丁寧に地域とつながり、心動かす活動を」箕面ユネスコ協会 その1

近畿ESDセンターは、開設5年目となりました。近畿ESDセンターでは開設当初から、学校教員のESD推進を応援する拠点の取材に取り組んでいます。令和3年度は2つの拠点に対して取材を実施しました。
7月31日に大阪府箕面市立萱野中央人権文化センターを訪れ、箕面ユネスコ協会会長の坂口一美さんと副会長の大濱淳子さんに活動や取組についてお話をうかがいました。

< 左から、坂口さん、大濱さん、出迎えてくださった事務局長の岡さん>

 

ここからは、元小学校教員の中澤(地域教材化コーディネーター・学習指導コミュニケーター)のコメントと共にご案内します。レポートその1では、箕面ユネスコ協会の立ち上げの経緯や基本理念、その活動を紹介し、箕面ユネスコ協会がどのように地域の中で根付いているのかお伝えします。その2では、箕面ユネスコ協会が、近隣の学校現場でどのような形で教員サポートを行っているのか具体的にお伝えし、連携による学習効果などについてお伝えします。

 

【箕面ユネスコ協会立ち上げの経緯】

会長の坂口さんは、宮城県仙台市出身ですが、ご主人の転勤に伴い全国各地への転居の後、大阪府箕面市へと移り住まれたそうです。そこで、ご長男の小学校でPTA会長を務めたのをきっかけに、大阪府PTAの会長をはじめとして、文部科学省の日本ユネスコ国内委員会や中央教育審議会といった国の委員にも関わってこられました。その後、米田伸次氏(大阪府ユネスコ連絡協議会理事、日本ユネスコ協会連盟顧問)からの声掛けで、2013年に民間のユネスコ活動団体である「箕面ユネスコ協会」を立ち上げられました。

何もないところからの出発で、当初は箕面ユネスコ協会の会員は、坂口さんが小学校のPTA役員だった時につながりがある関係者が多く、事務局長の岡さんは、当時の学校長、大濱さんも、息子さんの元担任だったそうです。「坂口会長の恐るべき行動力、そこに魅力を感じてみんな集まっていると思う。」と仰っていました。

< 岡山県真備町に向かう箕面ユネスコのメンバー:2019年西日本豪雨被害>

 

7年間継続してきた活動は、8年目の今年も充実した様子がうかがえ、地域に根差しながら活動の幅を広げておられます。被災地支援の活動を続けながら、支援活動に取り組んだ人の体験談や取組成果を地域の学校の出前授業などで還元していくという形で行動している地道な活動が認められ、2020年度のユネスコ協会グッドプラステック賞を受賞されています。会員は47名。それぞれのネットワークが戦力となっている、素晴らしい仲間だとのことです。
【3.11を忘れず、SDGsの理念「誰も取り残さない。」を合言葉に】

「地域の事を自分事としてとらえて、地域の課題を解決していく力を子どもたちに育んでいきたい。」「地域のおじさんやおばさんとして、学校支援が何かできないか」という想いが、箕面ユネスコ協会の出発点だとお聞きしました。

東日本大震災への支援を基本理念とし、「3.11」や、SDGsの理念である「誰も取り残さない。」を合言葉に、箕面市の学校現場において、被災地とつながって防災教育の学習を進める小中学生の教育活動の支援や、現地に出向き被災された方々と交流する生徒や先生の支援をされています。これは、箕面ユネスコ協会独自の活動ともいえます。

< がんばろう!つばさネットワークと気仙沼へ:高校生ボランティアと共に>

 

昨年度から続くコロナ禍においても、東日本大震災の被災地である気仙沼と大阪をつなぐ活動を実施されました。以前よりマスクを手作りしている協会員が製作したマスクと、気仙沼の団体に生地を提供して作製していただいたマスクとを、大阪府三島郡島本町にある遥(はるか)学園という児童養護施設に届けたそうです。また、5年前に発生した熊本地震、3年前の西日本豪雨、昨年7月の九州豪雨など、被災地支援の活動を積み重ね、ネットワークを構築されてこられました。様々な支援活動で関わった人達とのつながりを大切に、そこでの出会いから継続的な連携が生まれて相互支援につながり、私たちも元気をいただいていると坂口さんは仰っていました。

< 遥学園に手作りマスクを届けた活動についてお話くださる坂口さん>

 

< 泥かき用として寄せられた沢山のタオルを豪雨被害の九州へ届けに>

 

坂口さんは「単なる机上の学びではなく、人との出会いや経験から学んだことを基にして、心が震えるような体験が大事。たとえ全員は無理でも、一人からでも変わることにより、持続可能な社会は作られていくのではないかと思う。世の中を変えるための何かを箕面ユネスコが担っていければよいと思ってやっている。」と力強く語っておられました。

 

ここで大切なことは、支援している側が実際には、元気をもらっているということです。ここに、ESDの活動の本質があるように思います。助ける側、助けられる側といった関係ではなく、お互いが尊重しあいながら、対等な立場で、共によりよい暮らしや生き方を目指して協力することを、箕面ユネスコ協会では目指しておられるのが印象に残りました。
その2に続く。
(中澤 地域教材化コーディネーター・学習指導コミュニケーター)
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