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2022.02.07 センターお知らせ 

「人との出会いを大切に、丁寧に地域とつながり、心動かす活動を」箕面ユネスコ協会 その2

近畿ESDセンターは、開設5年目となりました。近畿ESDセンターでは開設当初から、学校教員のESD推進を応援する拠点の取材に取り組んでいます。令和3年度は2つの拠点に対して取材を実施することができました。

7月13日に大阪府箕面市立萱野中央人権文化センターを訪れ、箕面ユネスコ協会 会長の坂口一美さんと副会長の大濱淳子さんに活動や取組についてお話をうかがいました。
「人との出会いを大切に、丁寧に地域とつながり、心動かす活動を」箕面ユネスコ協会 その1はこちらこちら
レポートその1では、箕面ユネスコ協会の立ち上げの経緯や基本理念、その活動についてお伝えしました。その2では、近隣の学校現場でどのような形で教員サポートを行っておられるのか、元小学校教員の中澤(地域教材化コーディネーター・学習指導コミュニケーター)のコメントと共にご案内します。
【心を揺さぶられる 人との出会い 体験の語り】】

大濱さんは、元小学校教員という専門性を強みに地域の学校に関わっておられます。今年度のはじめにも箕面市立豊川第三中学校、豊川北小学校のそれぞれ学年の先生方と総合的な学習を中心に授業プラン作りをする機会を持たれたとのことです。


<大濱さんから、学年の先生方との話し合いの様子についてお話をお伺いしました。>

学年の先生方との打合せでは、「子ども達の様子はどうですか?」と、聞くことから始めることで、学年の様子や課題などを明らかにし、持続可能な地域・社会のために目指す子ども像や、それらを踏まえた学校行事の構想などについて情報共有して、箕面ユネスコ協会として具体的にどのような支援ができるかについて意見交換をします。ここでは、お互いがアイデアを出し合って考えていきます。これが一番の肝の部分だと感じているそうです。
最近では、先生方から、SDGsを考えるきっかけを作ってほしいという要望もあるそうです。「世界寺子屋運動」(日本ユネスコ協会が開発途上国の子どもと読み書きのできない大人に学ぶ機会をつくるための支援活動)や防災教育など、箕面ユネスコの活動自体がSDGsの達成につながる取り組みであると言えます。
箕面ユネスコ協会では、開発途上国の教育支援としてフィリピンやネパールに毎年訪れています。現地に出向いた人が刺激を受けたり感動したりした体験は、地域に帰って人に伝えことで、自分以外の人の心も動かします。
そこで、箕面ユネスコ協会の方が学校に出向いてお話をするだけではなく、一緒に現地に赴いた生徒たち自身の体験を伝えてもらう場の設定を行うことも、箕面ユネスコの活動として大切な役割となっています。平成31年にNPOルシエールと協働したネパールスタディーツアーでは、現地に行った高校生が、村での体験やそれぞれ感じたことを日本に帰って地域の小学生に伝えました。これは、「ネパール」との出会いを通して、世界への視野を広げ、今の自分を振り返るとともに未来の生き方に生かしてほしいと願っての学習です。高校生から話を聞いた子ども達は、ただ話を聞いて学ぶだけではなく、次に自分はどのような行動ができるか考えることにつなげます。ネパールの子どもたちに元気を届けようと、自分たちで作ったものを送った後、現地の子ども達からお礼が届いたりすることで、役に立ったという実感を持てることを大事にしたいとも仰っていました。


<ネパールでの体験を伝える高校生>

コロナ禍の今、現地に持参することは叶いませんが、子ども達が日本を紹介するために作った昔話やゲーム、自然や文化の冊子などの作品を、国際輸送のサービスを使ってネパールに届け、現地から届いたお礼のメッセージを箕面ユネスコが学校の子ども達に伝えるという、大事なつなぎ役をされているそうです。また、ネパール現地のNGOと箕面市内の学校をオンラインでつなぎ、東京から日本ユネスコ協会メンバーが通訳として参加の下、オンラインミーティングを開催したそうです。これも素晴らしいアイデアと行動力だと思います。


<書き損じ葉書を集める小学生:交流はリモートで>

箕面ユネスコ協会では、同一校での支援を毎年続けられています。しかも同じ年度に教材を変えて複数の学年で取り組まれていたり、学年を重ねて系統的に充実した取組につなげたりとかなりの頻度で地域の学校との関わりが見られます。持続可能な社会の創り手を育てるという想いを学校の先生と共有して、子ども達の成長につながる支援がなされている成果だと思います。
また、ユース世代を地域の学校の授業に上手く巻き込んで、人材育成をされています。例えば、春日丘高校卒業生の川本さん(現在大学の工学部在籍)は、日本ユネスコ協会主催のカンボジアスタディーツアーに参加し、熊本や真備などの被災地支援の経験もあります。土石流の現場に行った経験から、手掘りでの掘削は大変なので、将来、開発途上国などにおいて重機の製造に携わりたいと考えておられるそうです。川本さんが箕面ユネスコ協会と連携して、中学校での授業に参画することで、中学生達は、年代の近い先輩から被災地での体験談や、将来の夢などを間近に聞くことができ、被災地のことが自分事化されたり、川本さんの活動に憧れを抱いたりすることにつながります。また、川本さん自身も、中学生の前で語ることで、自分の将来の仕事に対して思いを一層強くすることになるでしょう。箕面ユネスコ協会では、これからも若いユース世代が現地の体験を通して学んだことを地元に帰って小・中学校生に伝えることいった関係性を続けていくことで、地域の学校にユネスコ活動を還元できると仰っていました。


<箕面市内の中学校で自らの体験を語る川本さん>

教育・科学・文化の国際協力を通じて平和をつくるというユネスコの理念と、現代社会の課題を自らの問題として捉え、身近なところから取組み、新たな価値観や行動で持続可能な社会を創造していくことを目指すESDに、箕面ユネスコ協会が行っている「地域とつながる支援活動」は通じていると感じました。
「誰も取り残さない」と坂口さんが言われた言葉通り、箕面ユネスコ協会では、自分ができることに利他の意識で積極的に参加し取り組む姿勢を大切にしています。学校の子ども達が地域から学び、学んだことを地域に発信したり、地域行事に参加して地域のために活動したりするという互いの連携の持続性が期待できる取組だと感じました。
箕面ユネスコ協会では、活動記録として、年5回ニュースレターを発行しています。その記事からも、箕面ユネスコの学校支援が、子どもたちの心に深く届くような形で行われていることがよく分かります。バックナンバーをぜひご覧ください。
(中澤 地域教材化コーディネーター・学習指導コミュニケーター)
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