近畿ESDセンターでは、昨年度に続き、平成30年度も学校教員のESD推進を応援する拠点を取材しています。
9月13日に兵庫県立人と自然の博物館を訪問し、生涯学習課の小山課長と上田指導主事にお話をうかがいました。
自然の教えから、人はよりよい未来を考える 人と自然の博物館 その1はこちら
「その1」では、人と自然の博物館(愛称「ひとはく」)の、学校の児童生徒に対するプログラムを中心にご紹介しましたが、「その2」では、ひとはくの教員対象の研修を中心に元小学校教員の中澤(地域教材化コーディネーター・学習指導コミュニケーター)のコメントと共にご案内します。
ひとはくでは、平成14年から「ひとはくの新展開」として、「生涯学習支援」を大きな柱に、学校教職員(保育園、幼稚園、小・中・高等学校、特別支援学校)や、地域で環境体験学習を指導されている方を対象とした「教職員・指導者セミナー」を開催しています。期間は、教職員の研修の場として活用してもらうために、夏期休業中に集中して、8月の第一週目を中心に実施しています。
教員、また、地域の指導者がスキルアップや苦手を克服することで、正確で具体的な情報の提供が可能になるとともに、授業で指導する際のポイントを把握することができ、意欲の向上や適切な助言を通して子どもたちへの学習効果が高まることを意図してセミナーを開催しているそうです。
対象は幼稚園、小学校~高校教員、特別支援学校・学級教員まで様々に対応できるように考えられています。
写真提供:人と自然の博物館 (教職員・指導者セミナー 植物観察の仕方)
例えば、「ピカピカどろだんごの作り方」は、幼稚園の先生方に人気のセミナーだそうです。子どもたちは、どろだんごが大好きなので、先生の上手な作り方を真似て楽しいどろだんご作りの時間が持て、子どもたち同士の会話も増えることでしょう。
また、「イカの魅力が伝わる『イカの解剖実習』」は、中学校2年の教科書に載っていますが、イカの解剖などは、苦手意識もあり十分に深める授業実践ができにくいと思われます。そんなとき、こういったセミナーで教員自身が実習できると、自信を持ってイカの解剖に臨め、生徒も興味深い授業を受けることで、主体的に学ぶきっかけになると思います。
写真提供:人と自然の博物館 (教職員・指導者セミナー イカの解剖)
また博物館では、中学生(トライやるウィーク)から高校・大学生までインターンシップや博物館実習の実習生を受け入れています。トライやるウィークでは、ひとはくの研究員の標本整理の補助や、ひとはくの来館者対応といった研究・運営などの体験をすることで、地域の自然や歴史に興味を抱くと共に自主性を高め、生きる力を養うことにつながります。
写真提供:人と自然の博物館 (トライやるウィーク デジタル紙芝居を実演)
特に総合的な学習の時間では、地域の素材や地域の学習環境を積極的に活用することが望ましいとされています。横断的・総合的な学習や探究的な学習を実現するためには、多様で幅広い学習活動となるように、博物館、社会教育施設や、社会教育団体等の協力は欠かせません。
ひとはくの活用を通じて、教員自身も自然のしくみのすばらしさや地球の歴史の壮大さに感動し、子どもと共に探究心をくすぐられるのではないでしょうか。先生と子どもたちが一緒になって学びを深められる場所だと思いました。
(中澤 地域教材化コーディネーター・学習指導コミュニケーター)