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2022.12.08 ESDニュース・イベント センターお知らせ 

「つながりを大切に『脱炭素型のステキな京都』の実現を目指して」京都府地球温暖化防止活動推進センター その1

近畿ESDセンターは、2017年7月の開設以来、今年で5周年を迎えました。近畿ESDセンターでは開設当初から、学校教員のESD推進を応援する拠点の取材に取り組んでいます。令和4年度は「京都府地球温暖化防止活動推進センター(京都)」、「国立曽爾青少年自然の家(奈良)」の2つの拠点に対して取材を実施しました。

6月22日(水)には、京都市中京区にある京都府地球温暖化活動防止活動推進センター(以下、センター)を訪問し、事務局長の川手さん、事務局次長の浅井さん、事務局の河田さんの3名の方に活動や取組についてお話を伺いました。

<右手前から、川手さん、河田さん、浅井さん>

レポートその1では、取材を基にセンターの立ち上げの経緯や基本理念などをお伝えし、センターがどのように地域の中で根付いているのかを探ります。
その2では、センターが、府下の学校現場でどのような形で教員サポートを行っているのか具体的にお伝えし、学校での学習や授業への活かし方などについて、元小学校教員の中澤(地域教材化コーディネーター・学習指導コミュニケーター)のコメントと共にご案内します。


【センター 立ち上げの経緯】

センターは、京都府内の温暖化防止に向けた取り組み(啓発や環境教育、CO2削減に繋がる取り組み)をサポートするための中間支援組織です。市民団体、事業所、行政など、さまざまな立場の方と連携して、京都府内の気候変動対策を進めています。

1997年に京都で開催された地球温暖化防止京都会議(COP3)には、世界各国から多くの関係者が参加し、先進国の温室効果ガス排出量に関して法的拘束力のある数値目標を盛り込んだ国際条約である「京都議定書」が採択されました。
これを受けてわが国では、「地球温暖化対策の推進に関する法律」を翌年に制定し、都道府県に一つ地域の温暖化防止活動を支援する「地球温暖化防止活動推進センター」を指定することができる、としました。
京都府では、府内の様々な活動主体が連携して、2003年にセンターを運営することを目的とした団体としてNPO 法人京都地球温暖化防止府民会議が設立され、地球温暖化対策推進法に基づき京都府知事よりセンターに指定されました。協働で地球温暖化対策に取り組むというスタイルは素晴らしいと感じました。
センターが目指しておられるのは「脱炭素型のステキな京都」の実現です。「京都議定書」誕生の地である京都府民としてその精神を受け継ぎ、脱炭素社会につながる暮らし方を選択して未来に繋ぐという強い意志が込められているのだと思います。


【センターが掲げている3つの柱】

センターでは、「脱炭素型のステキな京都」の実現に向けて、3つの柱を掲げて、行政・事業者・市民団体・推進員と連携して、脱炭素社会づくりのための「中核的支援組織」としての取り組みを進めておられます。


<その1.担い手のサポート>

京都府内の温暖化防止活動の担い手の方(市民団体・事業者・市町村・学校教員の方等)を対象に、「教材や啓発物品の貸出」「活動相談」「情報提供」「広報協力」等を行い、活動支援をしています。
京都府知事が委嘱する「京都府地球温暖化防止活動推進員(地域で温暖化防止活動を実践するボランティア)」に対して、京都府委託事業により定期的な研修や活動支援を行っています。

「地球温暖化対策の推進に関する法律」では、都道府県知事は、地球温暖化に関しての啓発、調査、指導・助言、情報提供等を行う「地球温暖化防止活動推進員」を委嘱することができることになっています。
京都府においても、「地球温暖化を防止するためには、国や地方公共団体だけが取組を進めるのではなく、住民一人ひとりが今のライフスタイルなどを見直していくことが重要」という考えに基づいて推進員を委嘱しており、2022年4月現在で第10期272名の推進員が府から委嘱され(任期2年)ています。推進員の方々は、地球温暖化の現状及び地球温暖化対策の重要性について府民の理解を深め、地球温暖化防止に向けて市民レベルでの実践活動の普及・啓発活動を先導していく役割を担っているということです。
センターでは、そういった推進員に対して活動現場での支援などにあたる他、定期的に研修会を開催しています。温暖化に関する知識やノウハウ、最新の情報を提供することで、推進活動のモチベーションの向上を図るとともに、脱炭素社会づくりの支援活動にスムーズに取り組めるよう、丁寧なサポートが行われていると感じました。


<その2.モデル事例づくり>

新たな温暖化防止に繋がる活動の展開を目指して、先進的・モデル的な事例作りを行っておられ、これまでにも、家電店の店頭で省エネ性能がひとめでわかるような「家電省エネラベルの普及」、学校給食や社員食堂での「地産地消によるフード・マイレージの削減」等のプロジェクトを実施して来られました。
その他、簡易省エネリフォームによる快適性向上、2台目冷蔵庫削減、住宅新築時の太陽光発電システム設置の初期設定化、宅配便再配達削減などもモデル的に展開されており、センターホームページhttps://www.kcfca.or.jp/project/には、沢山の事例が紹介されています。市民の生活スタイルに即して様々な取組をされており、府民が省エネや環境に関心を持ち行動に移しやすい仕組み(システム)づくりを行っていることが分かりました。


<その3.対策の面的展開>

効果的な温暖化対策を京都府内全域に広げる取組です。
例えば、毎年、京都府とセンターで実施している「めざせCO2ゼロチャレンジ!」は、京都府内の小学生を対象に、夏休み期間中に地球温暖化防止を学びCO2を出さない生活や未来を考える取り組み。推進員や小学校と連携して広めており、2022年度は1万世帯を超える参加があったそうです。
その他、推進員、地球温暖化対策地域協議会、省エネ普及ネット・京都と連携して行っている「家庭の省エネ相談所」は、それぞれの家庭の状況に応じたおすすめの省エネ行動についてアドバイスが受けられるもので、京都府内各地のイベント等で実施されています。また、より効果的な省エネにつながる家電等の使い方や家電買い換えの適切な時期等を診断できる「クールチョイス相談所」をモデル事業で開発し、現在、面的展開としてイベント等で実施しているとお聞きしました。

京都議定書の時の日本の目標は「マイナス6%」でしたが、パリ協定がめざす目標は2050年までに「排出を実質ゼロにすること」。がまんの省エネだけでは実質ゼロの目標は達成できません。しかし、エネルギーの作り方や使い方を変えて、地産地消を大切にするような社会の仕組みに変わることで「脱炭素で豊かなくらし・地域」を作ることが可能です。地元で活動する京都府の推進員さんや市民団体等、さまざまな方と協力しながら、情報を伝え、具体的な取組を進めていきたいと仰っていました。

センターのお話を伺って、府民全員がそれぞれのライフステージに応じて、より豊かな生活を目指すことを大事にされておられることが分かり、センターの活動におけるESDのキーワードは連携性。つまり、「地域とのつながり」だと思いました。
何より、センターのスタッフが事業の推進に向けてセンター内でコミュニケーションを活発に取りながら、和やかな雰囲気の下で意欲的に活動しておられる姿が印象的でした。

(中澤 地域教材化コーディネーター・学習指導コミュニケーター)

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