ホーム > センターお知らせ  > 「環境学習施設が最新の焼却施設クリーンセンターに併設!」さすてな京都 その2

ホーム > センターお知らせ  > 「環境学習施設が最新の焼却施設クリーンセンターに併設!」さすてな京都 その2

2020.11.24 センターお知らせ 

「環境学習施設が最新の焼却施設クリーンセンターに併設!」さすてな京都 その2

近畿ESDセンターは、開設4年目となりました。近畿ESDセンターでは開設当初から、学校教員のESD推進を応援する拠点の取材に取り組んでいます。令和2年度は4つの拠点に対して、コロナ禍の状況に配慮した上で対面またはリモート等、拠点に可能な形で取材を実施することができました。

7月21日に京都市伏見区にある南部クリーンセンター環境学習施設「さすてな京都」を訪問し、京都市環境政策局の北垣さんと熊澤さん、さすてな京都の運営団体である(株)トータルメディア開発研究所の柳さんと公益財団法人京都市環境保全活動推進協会の谷内口さん、環境学習プログラム専任の中西さんにお話をうかがいました。
レポートその1では、最先端の技術を駆使して創られた「さすてな京都」の施設内の様子と、その主な特長についてお伝えしました。その2では、地域の小学校と連携して展開している環境学習実践や「さすてな京都」の学習プログラムについて、元小学校教員の中澤(地域教材化コーディネーター・学習指導コミュニケーター)のコメントと共にご案内します。
<受け継がれる「プロジェクトY」>

さすてな京都では、地域にある横大路小学校と連携して「プロジェクトY」という取り組みを行っています。

京都市南部クリーンセンター第二工場の敷地のある一帯には、昔、横大路沼という肥沃な泥土を含む沼があり、大変大きくて味のよいレンコンが栽培されていたそうです。水害などの理由で沼は干拓され、その存在は過去のものだったのですが、第二工場建て替えのため、平成18(2006)年に京都市が地域の環境調査を行った際に、すでに絶滅したと考えられていたオニバスが自生しているのが発見されました。そのため、さらに横大路沼干拓地と近くの巨椋池干拓地の調査を進め、シャクジモ、ミズワラビ、ミズアオイなどの絶滅危惧種を含む19種もの水生植物の種を採取し、発芽させることに成功したそうです。横大路沼周辺の土壌は貴重な生態系の遺伝子資源となっていたのです。そしてオニバスをはじめとして、横大路小学校の校内にビオトープを作って子どもたちが育てることになった訳です。これには、地域の自然環境や歴史文化について子どもたちに探求・発見してもらいたいという意図があるそうです。この取組は、横大路の頭文字にちなんで「プロジェクトY」と名付けられています。


≪京都市立横大路小学校 プロジェクトY授業風景  写真提供:さすてな京都≫

横大路小学校では、この活動を毎年4年生の総合的な学習の時間に位置づけ、年間を通して地域の人や生き物専門家の協力を得て取り組んでいます。また、さすてな京都内にもビオトープを設置して、子どもたちが育てたオニバスなどを移植して育てています。
さすてな京都を訪問した際にも、企画展示室に横大路小学校4年生の学習の成果がまとめられた模造紙が展示されていました。子どもたちが、学校の代表としてオニバスを大切に育てている様子や、地域に対する思いが伝わってきます。



≪さすてな京都の企画展示室内の様子  写真提供:さすてな京都≫

クリーンセンターとビオトープ、一見何のつながりもないように見えますが、子どもたちは、ここで地域の歴史や自然環境を学ぶことができます。何年も土の中に眠っていたオニバスの種が芽を出し新しい命を育むことができたことにも驚きと感動が生まれます。この地が巨椋池や横大路沼だった昔の時代の人々の生活にも思いを馳せることができるでしょう。また、ビオトープを保全することを通して、生物多様性について学ぶことができます。地域の学校と連携したこの取組がいつまでも続くことで、子どもたちは自分の地域に魅力を感じ、さすてな京都の発信している「持続可能性の追求」に共感を抱くことでしょう。
<楽しみながら学べる環境学習>
さすてな京都では、施設内で環境学習プログラムを実施しています。

「循環型社会の形成」、「低炭素社会の実現」、「自然との共生」などをテーマに、工場見学とセットで学べる15分程度のミニ講座や、イベントとしての学習プログラム(30~1時間)、本格的な学習講座などを開いています。その種類も多く、校外学習として活用することもできますし、親子で楽しく環境を学ぶ体験をすることもできます。
例えば、循環型社会の形成を学ぶ講座では、
◆さすてな☆リユース工作〜捨てれば「ごみ」使えば「素材」
・お話や工作を通じて、限りある資源を大切に使おうとする「こころ」を養います。
◆さすてな☆買い物ゲーム
・環境にやさしい商品はどれかな?ゲームを通して、グリーンコンシューマーについて考えます

また、自然との共生を学ぶ講座では、
◆さすてな☆いきもの探偵団
・さすてな京都周辺のいきもの、地形、歴史などに触れることを通して、人と自然のつながりを再確認し、いのちの大切にする「こころ」を養います。
◆自然素材工作
・さすてな京都のまわりには、どんな自然があるのかな?自然素材を拾い集めて工作します。
◆横大路今昔物語
・横大路とその周辺環境についての情報を記したカードを使い、自然と共生した地域の歴史と文化を学びます。



≪環境学習プログラムの実施風景 写真提供:さすてな京都≫

このように、楽しい活動や体験を通して環境保全や持続可能な社会のためにどのようなことが大切か気づきを与え、考えるヒントを提供してくれます。季節に応じたプログラムも開催されていますので、ぜひホームページを参考にして、プログラム内容を見ていただければと思います。

館内を案内してくださった中西さん(環境学習専門スタッフ)は、さすてな京都の見学を環境学習につなげるためには、一方的に情報を提供するだけではなくて考える力をいかに伸ばすかが大事だと仰っていました。持続可能な未来に向けて、循環型社会・低炭素社会はどうあるべきかを考えるヒントを子ども達に与えていけるような施設でなければならないと思っておられるそうです。また、バイオマスガスを発生させる嫌気性発酵についても微生物の力を借りている訳で、生き物が互いに共存していく社会、生物多様性の大切さにも気づくことが大事だと言われていました。ここに、さすてな京都の目指す環境学習の提案があると思いました。

(中澤 地域教材化コーディネーター・学習指導コミュニケーター)
ホーム > センターお知らせ  > 「環境学習施設が最新の焼却施設クリーンセンターに併設!」さすてな京都 その2
ホーム > センターお知らせ  > 「環境学習施設が最新の焼却施設クリーンセンターに併設!」さすてな京都 その2