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2022.12.11 センターお知らせ 地域ESD拠点ニュース・イベント 

「『脱炭素型のステキな京都』の実現を目指して」 京都府地球温暖化防止活動推進センター その2

近畿ESDセンターは、2017年7月の開設以来、今年で5周年を迎えました。近畿ESDセンターでは開設当初から、学校教員のESD推進を応援する拠点の取材に取り組んでいます。令和4年度は「京都府地球温暖化防止活動推進センター(京都)」、「国立曽爾青少年自然の家(奈良)」の2つの拠点に対して取材を実施しました。
6月22日(水)には、京都市中京区にある京都府地球温暖化活動防止活動推進センター(以下、「センター」)を訪問し、事務局長の川手さん、事務局次長の浅井さん、事務局の河田さんの3名の方に活動や取組についてお話を伺いました。

レポートその1では、センターの立ち上げの経緯や基本理念、センターがどのように地域の中で根付いているのかお伝えしました。
レポートその2では、センターが、府下の学校現場でどのような形で教員サポートを行っているのか具体的にお伝えし、学校での学習や授業への活かし方などについて、取材を基に、元小学校教員の中澤(地域教材化コーディネーター・学習指導コミュニケーター)のコメントと共にご案内します。

【巨大ハンバーガーは、学びもでっかい!】
センターでは、京都府内で活動する方なら誰でも啓発活動や環境教育に活用できるよう、体験的に学べる教材や展示パネル等を作成・整備しており、毎年多くの啓発グッズを貸し出しています(貸出無料、送料必要です)。

【学習プログラムのご紹介】
訪問時に見せて頂いた手作りハンバーガー(のぬいぐるみ)です。

まず大きさに驚かされますが、大きいだけではなく、学びの要素も沢山サンドされています。その名も「ハンバーガーの向こう側」。フード・マイレージ教材です。

子ども達は、この巨大ハンバーガーの登場にわくわくして、目も心も集中することでしょう。パンの原料である小麦はアメリカから、具材の肉はオーストラリアから輸入といったように、麦畑や牛の写真と合わせてお話を聞くことで、一層イメージが湧きます。「○○のハンバーガーが美味しい!」といった子ども達の率直な感想も交えながら、楽しく学習を進めることができるでしょう。
次に、遠い外国からそれらの原材料を運搬するには、いったいどれだけのCO₂が排出されているだろうかという問いを投げかけることで、何気なく「外国から輸入」とだけ思っていた子ども達が、CO₂排出の問題と向き合うことになります。この、気づきから学びに向かわせるための導入教具として、「ハンバーガーの向こう側」はとても工夫されていると思いました。また、ビーチボール地球儀もセットになっており、日本と輸入先の国との距離をマスキングテープを貼って確認することで、実際に沢山のCO₂排出をイメージすることができます。国産小麦(北海道から)の距離と比べると違いは一目瞭然です。楽しく学びながら、食品の輸入と私たちの食生活をもう一度見直したり、地球温暖化や気候変動の問題を考えたりする学習へとつなげて行くことができると思います。
教材貸し出しだけでなく、授業の手順や投影用パワーポイントデータの提供もされており、いくつかの小・中学校の出前授業で実施されています。

【体感できる‼ LED・電球 エネルギー比較実験機】
【体験グッズのご紹介】
実際に体験ができる教具も見せていただきました。
手回し発電機で豆電球とLEDライトを点灯させる比較装置です。豆電球を灯すときには、かなり力を入れてハンドルを回す必要がありますが、LEDライトのほうにスイッチを倒すと、非常に軽く回しても明るく灯るといった違いが体感できます。このことから、普通電球よりLEDのライトの方が少ないエネルギーで効率よく明るくすることができることが体感でき、家庭の照明器具をLEDに替えることで省エネにつながることが納得できます。また、日頃私たちは、当たり前のように電化製品を使い電気を消費していますが、電気を作るためには多くのエネルギーが必要であり、そのエネルギーはどうやって作り出しているのだろうか、と疑問を抱かせることにつなげていけるでしょう。SDGs7では、「エネルギーをみんなに、そしてクリーンに」といった目標が掲げられていますが、自分の身近なことから課題に目を向ける授業の導入に活用できると思います。

これらの啓発グッズは京都府内であれば学校でも利用可能で、センターの事務局に連絡すれば、教材の紹介、実践例の紹介、また、講師の派遣などの相談にも応じていただけるそうです。学校の環境教育で学習教材として活用すれば、子どもたちも大いに興味・関心を抱くと思います。貸出についてはホームページをご覧ください。

【「めざせCO₂ゼロチャレンジ」は家族ぐるみで】
センターが取り組んでいる事業で、京都府内在住または在学の小学生及びその家族(主に小学4年生以上を想定)が夏休み期間中に取り組む「めざせCO₂ゼロチャレンジ」があります。レポートその1でも触れましたが、夏休みを利用して家族を巻き込んで地球温暖化防止のためにCO₂を出さない生活や未来について考えてもらうことがねらいです。取り組んだ全世帯の子ども達に参加賞と、京都府知事からの「エコ家族認定証」が贈られます。学校から夏休み中の宿題として配布してもらったり、学校単位で参加できる「学校参加キャンペーン」に取り組んでもらったりと、学校との連携がこの事業のポイントでもあります。学校で学んだことを家庭生活につなげて、家族で考えるきっかけができてよかったという感想も多いそうです。
今すぐできるこまめな省エネだけでなく「脱炭素型のステキな未来・地域社会をイメージする」ことをねらいとして、子ども達の自由な発想で書いて描いてもらう「チャレンジシート」には、大人もびっくりのアイデアがたくさん集まるようになってきたそうです。

2022年度CO2ゼロチャレンジ・子ども達が書いた・描いた「チャレンジシート」紹介

このように、センターが、学校・家庭・地域との連携につなげていく学びの連続・発展の役割を担うことで、子ども達にとって地域がより身近に感じられるようになり、「社会に開かれた教育課程」の実践にもなります。子ども達が保護者と共に地域の環境を守る活動に参加したり、子ども達自身が地域に向けて環境保全を促す発信や提案をしたりといった事も可能だと思います。


【高校生に総合「対話的で深い学び」の提供支援】

【出前授業の実施】
センターでは、小中高校等を対象とした出前授業も実施しています。小学校高学年からのご要望が多いそうですが、今年度は府内の高校からご要望があり、「総合探求の時間」での4回の出前授業を実施しました。センターの講座の翌週には、先生が生徒たちと講座の内容を振り返り、定着を図る。次にまたセンターからの講座を受けるという形で繰り返して学びを深めるという工夫をされたそうです。

ESDでは、知識が感性と融合することで強く心を動かされ、行動化や更なる学びの追求が生まれます。センタースタッフ自身の環境保全に対する熱い想いが伝わるとともに、次世代に託す期待を込めて課題を投げかけることで、生徒たちの知識・理解を深め、一層の探求心を養うことにつながります。そして生徒たちが仲間とともに主体的に活動し、地域をフィールドとした課題解決力を伸ばし、よりグローバルな問題に挑戦する力を育むことにもつながります。センターは学校と連携することで、持続可能な社会を創造する人育ての一翼を担っている訳です。このような取組が他地域でも広がることを期待します。

家庭や地域とつながって、気候変動の問題や地球の温暖化防止に向けて、教科の授業や総合的な学習の時間に取り組みたいと考えておられる京都府の学校教員の方は、是非、センターをご活用ください。

(中澤 地域教材化コーディネーター・学習指導コミュニケーター)

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