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2020.02.05 センターお知らせ 

「国有林の広い森 自然の木々に包まれて生物のつながりや暮らし・文化を学ぶ」箕面森林ふれあい推進センター その1

近畿ESDセンター開設3年目となりました。令和元年度も学校教員のESD推進を応援する拠点を取材しています。
8月28日に、大阪市にある「林野庁 近畿中国森林管理局 箕面森林ふれあい推進センター」を訪問し、中村所長と倉石さんにお話をうかがいました。
 
「箕面市にある国有林のフィールドを使って、学校の子どもたちや先生に森を探検しながら森林環境教育・ESDに活用いただければと思っています。」と仰っていました。
 
そもそも、国有林とはどういったものなのでしょうか。日本は、世界有数の森林国で、国土の約7割が森林であると言われています。その内の3割が、国が管理する国有林だそうです。そして、その多くは奥地の急峻な山地や水源地域にあって、良質な水の供給、土砂災害の防止・軽減、地球温暖化の防止、生物多様性の保全など、私たちが生活していくうえで大変重要な働きをしています。
さまざまな役割(多面的機能)を持つ国有林は、私たちの生活に欠かすことのできない国民共有の大切な財産と言えます。
 
そういった貴重な国有林の中で、大阪・兵庫・京都からも比較的アプローチのしやすい箕面市の国有林を森林環境教育の場として提供してもらえる状況にあるというのですから、ぜひとも学校教育に活用して、森林やその恩恵について多様な視点を子どもたちに与えることで、持続可能な社会の創り手の育成にもつなげていきたいところです。
 
レポートその1では、箕面森林ふれあい推進センターが提供している森林環境教育プログラム「森の探検隊」を中心に、元小学校教員の中澤(地域教材化コーディネーター・学習指導コミュニケーター)のコメントと共にご案内します。
 
【森の探検隊】
箕面国有林内にある「エキスポ‘90みのお記念の森」で実施されています。
「風を感じたり、樹液や葉っぱの香りを嗅いだり、鳥の声を聴いたり、森の土の感触を感じたり‥五感で感じる体験も楽しめます。」と、ホームページでも紹介されているように、
現地で植物はもちろん、森に生きる小動物や昆虫の生態に関しても、実際に手で触れたり、においを嗅いだり、声や音を聞いたりして五感を使い、森の営みを直接に体験することができるように工夫されています。
 
森の中の25ほどのポイントをオリエンテーリングのように回り、ポイントごとにある指令(問題)をグループの全員で協力して答えを考えます。

「森の探検隊」 提供 ≪箕面森林ふれあい推進センター≫
 
例えば、「台場クヌギ」というポイントでは、かつて北摂地域一帯で生産されていた「菊炭(池田炭)」の原木として育ててきた台場クヌギを通して、自分たちが暮らしている地域の歴史や文化と森との関わりなどが学習できます。
菊炭は、名の由来のように切り口は菊の花のように美しい割れ目があり、燃やしている間にはぜないこと、さらには燃え尽きた後にも白い灰が粉雪のように残るなどの風情、火付き、火持ちがよいなど、今もお茶席には欠かせない高級炭としての地位を保っています。これらの条件を満たす炭の原料となる樹木がクヌギだそうです。
自然を上手く活用した昔の暮らしを知ることで、今の自分たちの生活の仕方との違いに気づき、暮らしや消費について考える学習のきっかけにもつなげることもできます。また、古代から現代に伝わる菊炭(池田炭)の技術のすばらしさを知り、受け継がれてきた伝統技術に興味・関心を抱くことにもなるでしょう。
「ヒノキさん、あなた何さい?」というポイントでは、年輪を数えることで木の年齢が分かることを知り、実際に切り株に触れて数えることを通して、より森の木々に親しみを感じることができると思います。

「森の探検隊・木の年輪を数える」 提供 ≪箕面森林ふれあい推進センター≫
 
「木の皮を向いたのはだれだ」「森に落ちている黒い豆」「シカと知恵比べ」などのポイントでも、子どもたちはシカの生態を知ることで、シカと森との関わりに気づき、人間との共生の必要性などに気づくでしょう。森林・里山などの自然が森の動植物の豊かな命のつながりに役立ち、生態系の循環を生んでいることが学べると思います。

「森の探検隊・森に落ちている黒い豆(シカの生態を知る)」 提供 ≪箕面森林ふれあい推進センター
 
このように、問題を解きながら森を散策することで、子どもたちにESDの視点で考えるきっかけを与えてくれます。
 
「この『森の探検隊」』のフィールドワークを、学校に帰ってからの学習にぜひともつなげてもらいたい」と、お二人はおっしゃっていました。実際に箕面市の学校では、「森の探検隊」を体験した4年生が、グループで調べた「森の不思議」を模造紙に新聞としてまとめて、3年生に向けて発表することで、学年交流も兼ねて下級生の意欲化にもつながっているという例も紹介してもらいました。
森林環境教育を切り口に、地球温暖化の問題、生物多様性・生態系保全や木材の利用の必要性など、様々な課題に結び付けることができると思います。そういった視点を養うことは、持続可能な社会の創り手の育成を目指す教育につながるでしょう。
森の中で楽しい体験を味わうとともに、自然と触れ合うことで気づかされることも沢山あります。子どもたちに興味の湧く森林体験の場を安全な形で提供している「エキスポ‘90みのお記念の森」をぜひご活用ください。
その2では、箕面森林ふれあい推進センターが、学校教員を対象に実施している森林環境教育研修を中心にご紹介したいと思います。
 
(中澤 地域教材化コーディネーター・学習指導コミュニケーター)

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