大阪市天王寺動物園では3月を生物多様性月間と定め、「動物のこと、地球のこと。未来のことを少しだけ考えてみよう」をキャッチコピーに、春のナイトZOOのイベントが開催されました。
トークカフェの大きなテーマは「生物多様性」でしたが、生物多様性に配慮した暮らしには、ESDが重要な役割を果たします。
例えば、理科の授業で、生きものは相互に「食う食われる」という、食物連鎖の関係でつながっていることを学習しますが、ここには私たち人間も加わっているのです。生きものの命をいただくことへの感謝の気持ちや、必要以上に乱獲しないという意識も大切です。また、人間が自然環境を破壊してしまえば生きものは生息地を失い、種の絶滅にも及びかねません。CO2の排出による温暖化の影響で生態系が破壊されているのも事実です。地球上の全てのものは、関わり合って生存していると言えます。
動物園では、アフリカやオーストラリアなど日本から遠く離れた国に生きる動物や、絶滅の恐れのある貴重な動物を実際に見ることができます。動物たちの、子どもを生み育てるという命をつなげる行為は人間と同じです。見学を通して動物たちをより身近に感じることができ、地球の環境を考えるきっかけにもなるでしょう。
環境省も参画している「国連生物多様性の10年日本委員会」(UNDB-J)では、生きものと私たち人間とのつながりを意識して今日からできる自分自身の行動を宣言する「MY行動宣言」を行っています。
今回、違った分野の機関や部署における取組のなかに共通するESDの視点を確認しあうことで、地球上に生きる全ての生命の持続性を考えていくうえでも、互いの連携を図り関係性を構築するパートナーシップの大切さを改めて実感しました。
(中澤 地域教材化コーディネーター・学習指導コミュニケーター)
コーディネーターには、国際自然保護連合日本委員会(IUCN-J)副会長兼事務局長 道家哲平氏、パネリストとして、大阪府立環境農林水産総合研究所生物多様性センター 近藤美麻氏、天王寺動物園 獣医師の市川晴子氏が登壇され、近畿環境パートナーシップオフィス・近畿地方ESD活動支援センターからも話題提供させていただきました。