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2019.01.28 センターお知らせ 

「野鳥との出会いを通じて、環境保全を身近なこととして考える 湖北野鳥センター/琵琶湖水鳥・湿地センター その2

近畿ESDセンターでは、昨年に引き続き、平成30年度も学校教員のESD推進を応援する拠点を取材しています。
9月10日に湖北野鳥センター/琵琶湖水鳥・湿地センターを訪問し、植田さんと池田さんにお話をうかがいました。
 
野鳥との出会いを通じて、環境保全を身近なこととして考える 湖北野鳥センター/琵琶湖水鳥・湿地センター その1はこちら
 
「その2」では、湖北野鳥センターと長浜市内の小学校との連携事例を紹介するとともに、センターでの学びをESDにどのようにつなげていくか、その可能性を探りたいと思います。元小学校教員の中澤(地域教材化コーディネーター・学習指導コミュニケーター)のコメントと共にご案内します。
 
長浜市の学校との連携~「みずすまし活動」のサポート
長浜市では、市内27全ての小学校が「地域の水環境を知ろう!」という学習をしています。長浜市水生生物少年少女調査隊「みずすまし」です。昭和62年に結成され、平成28年度で結成30年になる継続的な活動だそうです。
学校の近くの川を中心に、指標生物の目安に当てはめて川の水質状況を調べる活動で、地域の川の生き物に触れ、水質を調べることで、自分たちの暮らしと川、そして琵琶湖との関わりを改めて考え、川を汚さない行動や自然を大切にする気持ちが育つと考えられます。この活動の講師として、湖北野鳥センターの職員が専門的な立場で先生方の授業の支援を行っています。野鳥を切り口にして環境保全について伝えることで、子どもたちは多様な生き物同士のつながりについても考えることができると思います。

写真提供:湖北野鳥センター/琵琶湖水鳥・湿地センター
 
「里湖」から学ぶESD
野鳥センターの植田さんは、野鳥を観察する時には「こっちの鳥はお腹いっぱい。」「この鳥は今、餌を探している。」「この鳥は今ボーっとしている。」・・・と、鳥の気持ちや行動を身近に感じてもらえるように子どもたちに話しかけているそうです。また、豊かな自然環境の中で培ってきた滋賀の人々の暮らしを紐解き、琵琶湖と共にある暮らしを自分事として感じてもらうことに配慮しているとおっしゃっていました。 
湖北野鳥センターの見学や体験は、単に野鳥に親しむためのセンターというだけではなく、環境に配慮した暮らしや持続可能な社会づくりを担う子どもたちを育成するための教育「ESD」の視点に沿った考え方を提案できるものです。実際に体験して考えることのできる貴重な場であると思います。学校の先生方の研修の場として、関東地方の教育委員会からの依頼を受けた例もあるようです。
 
世界的にも、地球の温暖化によって渡り鳥の越冬地が北上したり、繁殖にも影響を与えたりしている現状があります。渡り鳥は、シベリアと日本の間をノンストップで渡って来るのではなく、何度も中継地で休みながら渡っていますが、渡りの中継地の干潟がなくなると、多くの種が絶滅する恐れもあります。
野生生物は、自然環境にその未来を委ねていると言っても過言ではありません。その自然環境は人間の活動により左右されるものです。これからも絶えることなく、琵琶湖で水鳥たちと出会うためには、琵琶湖の湖岸が水鳥のえさ場として水生動植物の宝庫であり続ける必要があります。伝統的な農村の自然環境を支えてきた「里山」の考え方と同じで、「里湖(さとうみ)」という考え方で、琵琶湖の自然環境を守ることは、水鳥の暮らしを守ることにもつながります。そして、長い歴史の中で育まれてきた人々の生活は、そこに暮らすあらゆる多様な生きものたちと相互のつながりを大切にすることで、持続可能な地域づくりにつながっていくのではないでしょうか。
 
湖北野鳥センター/琵琶湖水鳥・湿地センターを訪れ、実際に鳥たちを観察することで、世界に目を向け、環境保全の学びを深める導入とされてはいかがでしょうか。
 
(中澤 地域教材化コーディネーター・学習指導コミュニケーター)

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