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2020.02.12 センターお知らせ 

「国有林の広い森 自然の木々に包まれて生物のつながりや暮らし・文化を学ぶ」箕面森林ふれあい推進センター その2

近畿ESDセンター開設3年目となりました。令和元年度も学校教員のESD推進を応援する拠点を取材しています。
8月28日に、大阪市にある「林野庁 近畿中国森林管理局 箕面森林ふれあい推進センター」を訪問し、中村所長と倉石さんにお話をうかがいました。
 
「国有林の広い森 自然の木々に包まれて生物のつながりや暮らし・文化を学ぶ」箕面森林ふれあい推進センター その1はこちら
 
レポートその1では、箕面森林ふれあい推進センターが提供している、児童・生徒に対する森林環境教育プログラム「森の探検隊」を中心にお伝えしました。その2では、学校教員を対象に実施されている森林環境教育研修を中心に、元小学校教員の中澤(地域教材化コーディネーター・学習指導コミュニケーター)のコメントと共にご案内します。
 
【「森の探検隊」 教員研修】
子どもたちの「生きる力」を育み、「持続可能な社会づくりに向けた人材」の育成を目指すためには、森林の中で自然に親しみ、体験を通して様々な循環型社会の本質を見極める視点をもつことが有効であると考えられます。
しかし、実際の教育現場では、森林環境教育の実践に向けた顕著な取り組みがあまり見られないという状況を踏まえ、箕面森林ふれあい推進センターでは、平成16年度から学校教員を対象に研修の機会を設けているそうです。先生自らが自然を題材とした体験学習に興味を持ち、研修を生かしてそれぞれの教育現場で森林環境教育(森林ESD)の実践につなげてもらえるようにという意図で取り組んでいるとのことです。

「森の探検隊」教員研修 (創作紙芝居を使っての講義) 提供 ≪箕面森林ふれあい推進センター≫
 
子どもたちが学習に興味を抱き、わくわくするような授業を実践していくために、先生方に、そのわくわくをまずは体験してもらおうという訳です。
 
「学校における森林環境教育とは、『森林』を中心とした環境教育であり、『森林』そのものについて知ることが目的なのではなく、森林と私たち人間との関係(かかわり)のあり方をとらえ、その関係(かかわり)のあり方を問い直すということが意図されなければならない。森林を知ることはその関係をとらえるための前提である。」と、京都教育大学教授 山下宏文氏が「森林環境教育推奨事例集」(近畿中国森林管理局 箕面森林ふれあい推進センター発行)の巻頭で述べられています。
先にも触れましたが、学校で森林環境教育に取り組まれる際には、先生自身が森林の不思議や魅力、価値に触れ、子どもたちと学ぶ意味を確かなものにして実践していただきたいと思います。
 
さて、令和元年度、国有林の夏休みのはじめの一日を使い、箕面市教育員会理科部会との共催で箕面市の先生方を対象に開かれた「森の探検隊教員研修」の様子について、箕面森林ふれあい推進センターのお二人に伺った内容や、ホームページを参照してお伝えします。
 
研修は、現地(箕面国有林内「エキスポ”90みのお記念の森」)を散策しながら、自然観察プログラムの立て方や五感を使った学習方法などについて実例を交えて行ったとのことです。また、子どもたちが興味を抱く昆虫に関する面白い知識の講義や探検活動行い、先生方は体験を通して色々な発見や驚きを得たようです。

「森の探検隊」教員研修 (授業で使える昆虫に関する面白い知識の講義) 提供 ≪箕面森林ふれあい推進センター≫
 
森林を散策するという機会は、先生方の生活においても貴重な体験だと思います。森林のイメージは持っていても、実際にその場に行かないと見えてこないものが沢山あるのではないでしょうか。
木の香り、動物の足跡、鳥の鳴き声、小動物や虫の糞など様々な命の営みに触れ、それらの全てが森林の生態系を構成するものであると気づくことができ、生物多様性保全の必要性を感じることができます。こういった体験をするからこそ、例えば、下記のような知識が実感を伴って理解できると思います。

「森の探検隊」教員研修 (森林散策 木の香りを嗅ぐ) 提供 ≪箕面森林ふれあい推進センター≫
 
【森林の持つ機能について】
➀葉の蒸発散作用によって夏の気温を低下させ、都市部におけるヒートアイランド現象を抑え地球の気温の変化を緩和するはたらき、
➁地中にはりめぐらされた樹木の根によって、土壌を斜面につなぎ止め土壌の流出を抑え、土砂崩れなどの土砂災害の未然防止のはたらき、
③雨水を地中に浸透させ、洪水や渇水を緩和すると同時に水質を浄化するはたらきなどがあります。
 
これらに加えて、森は安らぎや癒しの効果を持つ空間でもあるのです。樹木が発散する揮発性物質が健康増進に効果を発揮することなど実証的なデータもあり、このことから、森林浴やハイキングが、気分転換や健康維持に高い効果を発揮することが期待できるそうです。
 
持続可能な社会の創り手を育むために、多様性や循環性(有限性)、相互性などのESDの視点を取り入れ、森林を教材にした授業は、理科や社会科の内容からでも学習に取組めると思います。
先生が体験した感動を基に取り組まれる授業には子どもも動かす熱があります。貴重な体験のできる場として活用していただきたいと思います。
 
(中澤 地域教材化コーディネーター・学習指導コミュニケーター)

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